未来を拓く:おもしろい授業?おもしろい研究

ラフカディオ?ハーンの人生をたどって

掲載内容は当時のものです。

 富山大学中央図書館には、ラフカディオ?ハーン(小泉八雲、1850年‐1904年)の旧蔵書が収蔵されています(以下ヘルン文庫)。
私の研究の中心はヘルン文庫に収蔵されている書物に見られる書き込みを調査し、それがどのように、帝大などでの講義やハーン自身の作品に反映されているのかを確認することにあります。

 ヘルン文庫の英語で書かれた書物は、帝大(現東京大学)や五高(現熊本大学)で英文学や英文学史の講義を準備するために日本で買い求めたものが多く、日本語で書かれた書物(和漢書)も妻のセツさんや弟子の学生たちが東京に来てから買い求めた方が多いのですが、700冊余りのフランス語で書かれた書物の過半数は、アメリカ時代に買い求めたものであることが分かっています。これらの書物は、ハーンが好んだ小説などの文学作品が多く、アメリカ時代に翻訳を試みたゴーティエやモーパッサンのものなども見られます。

 ハーンはまた、来日直前に滞在したマルティニーク(仏領西インド諸島)で民話や伝承の聞き取り調査をしています。これらのメモはフランス語、英語、クレオール語で書かれているのですが、その調査も私の研究の一部です。また、ハーンは日本では『怪談』を中心とした日本文化の紹介者としてよく知られていますが、ギリシアに生まれ、アイルランドと英国で少年時代を過ごし、青年時代のおよそ20年間を米国で過ごし、その最後の2年間はマルティニークに滞在した後に来日したハーンは、それぞれの土地の風俗や人々に関心を抱き、それが著作に反映され、今日も世界各地で読まれています。私自身もハーンに導かれて、これまでに米国、フランス、アイルランド等で講演を行い、世界の研究者と連携しながら自分の見分を広めてきました。思わぬ出会いや発見もあり、ヘルン先生につながれたご縁に驚く日々が続いています。